【紙芝居型ブログ】医師との意思疎通(主治医に伝わる診断書依頼方法)

医師との関係を良好にすることは障害年金受給のみならず治療がうまくいくためにも必要です。医師も人間ですので、つらいことやできないことを伝えないとわかりません。

高橋社労士
診察時に言いたいことが言えないことがあるかと思います。日常生活状況を書類にまとめて渡しましょう。

 

Aさんは、中学生になった頃から夜眠れない、
何事にも気力がわかないといった症状が現われ始めました。
特に朝学校へ行く時間になると激しい頭痛に襲われることが頻繁になり、学校は休みがちになりました。
1ヶ月も経たないうちに学校へ行く事が出来ずに不登校になりました。

Aさんは、自分自身でもこの体調の変化に戸惑っていました。
両親も中学生になり環境の変化や人間関係の変化があったため順応出来ないだけだろう、
しばらく休めば大丈夫だろうと思い病院は受診せず、様子をみることにしました。
3ヵ月経っても症状は平行線で、ただただ家で寝ているだけのAさんでしたが…

 

お母さん何か手伝おうか?洗濯物私がやっておくよ。

 

え、昨日まで部屋に閉じこもって、声をかけても何も返事しなかったのに
どうしたの?治ったの?

 

今日は頭も重くないから、動けるの。手伝うよ。

 

え…本当に大丈夫なの?それならお願いするわ。
(この何か月か部屋からほとんど出てこなくて、頭が痛い、気力がない様子だったのに、
ついに前向きになったのね。この調子で徐々に治っていくはずだわ。)

 

ここから1週間位は、家族とも会話が出来たり、家事の手伝いをしたりと
部屋に閉じこもることはほとんどありませんでした。
改善に向かっていると希望を持ち始めた母でしたが、そんなある日

 

最近だいぶ調子がいいから今日は買い物でも誘ってみようかしら。
(コンコン)今日はちょっと買い物に行ってみない?

 

うるさいな、話しかけてこないで。頭が重い…。
何も出来ない。
やりたくない。
ご飯もいらないから、ほっといて。

 

昨日まで前向きだった娘が、
突然また部屋に引きこもり、
食事を取らなくなってしまいました。
気分の浮き沈みが激しくなっていたため
母親は家の近くのかかりつけの病院で診てもらうことにしました。

 

 

起立性調節障害の疑いがあります。
検査をしてみましょう。

 

検査を行ったが、なにも異常は見られませんでした。

 

他に考えられる病状としてうつ病の疑いがあります。
この病院は専門ではないので紹介状を書きますので、こちらのクリニックに行ってみて下さい。

 

うつ病ですか…

 

Aさんの初診日はここになります。
まだこの時点では統合失調症とは診断されていないので初診日ではないと思ってしまう方が非常に多いですが、ここが初診日となります。
きっかけとなる病状で最初に診察を受けた日があれば、その日が初診日となります。初診日証明書はこの病院で書いてもらうことになります。

 

 

その後、紹介されたクリニックを受診しうつ病と診断されました。
このクリニックは2年半程通院しましたが、症状が改善しなかったため転院しました。
さらにこの後も転院したため、初診から8年間で4つの病院を受診しています。約10年前の病歴を整理し思い出す作業はとても大変でした。
現在通院中の病院にて統合失調症と診断されました。

 

 

Aさんは現在の病院は月に1回通院しています。
3年以上通院しており、医師との関係も良好です。

 

こんにちはAさん。
最近はどうですか?変わっていませんか?

 

はい…

 

現在の病院の医師
ご飯は食べれていますか?

 

はい…

 

薬は飲めていますか?

 

はい…

 

ではいつものお薬をだしておきますね。
また1ヶ月後に来てください。

 

はい。ありがとうございました。

 

毎回このような会話をし、診察時間は2分~3分程度との事でした。
医師は毎回きちんと話を聞いてくれ、医師とAさんとの関係性は悪くはありませんでした。
しかし診断書を依頼したところ、実際の症状より軽い診断書内容でした。

 

Aさんは初診日が中学生の時なので、20歳前傷病となり国民年金となります。
障害基礎年金での申請となるので、1級か2級の障害状態でなければ障害年金は受給出来ません。

 

診断書は3級程度の内容のものでした。
ネットなどで色々調べて検討をつけました。

 

このままでは障害年金がもらえないわ…どーしよう。
そうだ、何かいい方法がないか調べてみよう。

 

Aさんはネットで障害年金の申請の代行や相談を社会保険労務士がサポートしてくれることを知りました。
初回の相談は無料だったので、早速最寄りの社労士事務所に相談に行きました。

 

障害年金についてのご相談とお聞きしましたが、どんなことでしょうか?

 

自分で申請しようと、主治医の先生に診断書を書いてもらったのですが、その診断書が3級くらいのようで…。
私は初診日が中学生なので障害基礎年金となるので
2級でないと受給出来ないとインターネットで調べて知りました。
このままこの診断書を出しても、もらえないのではないかと思って…

 

よくお調べになっていますね。
そうですか…。
軽い診断書が出来上がってきてしまい、どうしたらよいのかというご相談ですね。
主治医の先生とはよくお話はされますか?

 

はい…。色々聞いてくれます。

 

主治医の先生とは関係は良いと思いますか?

 

はい。前の病院先生は合わなかったですが、今の病院の先生はやさしくて関係は良いと思います。

 

診察時間は5分以内ではありませんか?

 

だいたいそうですね。長くはありません。
毎回そんなに変化はないので。
同じようなやり取りしかしません。

 

診察の時に、普段の辛い事や一番具合の悪い時のお話はしていますか?
具体的に出来ない事を伝えていますか?

 

そう言われると…。
毎回2~3分程度の診察時間で、先生に聞かれたことには答えているので…。

 

なるほど~。
では、私からAさんの日常生活について何点かお聞きしますね。
ご飯は食べれていますか?

 

はい。食べています。

 

1日3食しっかりとですよ?

 

いや、3食は食べてないです。1日1食しか食べないことが多いです。

 

私が初めにご飯は食べていますか?と聞きました。
私は1日3食バランスの摂れたしっかりとした食事という意味で聞いたつもりだったのですが、
この聞き方だと、1食しか食べれていなくとも食事は摂れているので食べていると答えても間違えではありませんよね。
これが、主治医の先生の理解と実際のAさんの症状との違いがあるのかもしれません。

 

え?どういうことですか?!
私は主治医の先生に聞かれればきちんと答えていますが…。

 

なぜ実際の病状より軽い診断書を書かれてしまったのでしょうか。診察内容を振り返ってみましょう。

 

なぜ実際の病状より軽い診断書を書かれてしまったのでしょうか。診察内容を振り返ってみましょう。

 

ご飯は食べていますか?

 

はい…

 

この質問に対してAさんは「はい」としか答えていません。
実際には、家族が用意し、声をかけ指導してくれるので食事は食べれていました。
本人は食べなくてもいいと思っており、日常的に1日1食しか食べない事も多く、
家族が声をかけても2日間何も食べない事もありました。
しかし医師にはこのような状況は伝えきれていないのです。

ご飯は食べているかとの質問に、1日1食でも3日に一度の食事であっても食べている事には変わりがないので、本人は食べていると答えます。
あるいは1日3食しっかり食べているという方がいましたが、よくよく話を聞いてみると
3食とも毎回同じコンビニの菓子パンを1つだけ食べている状態の方もいました。
ここでの質問の意図はきちんと朝昼晩バランスの摂れた食事を取れているのか、というものですが医師はそのような聞き方をしないため、きちんとした本人の状態を伝えきれていないケースが非常に多いのです。

 

 

 

薬は飲めていますか?

 

はい…

 

この質問も先ほどの食事の質問と同じです。
Aさんは自分では薬の管理は出来ていませんでした。
家族が用意をしてくれるので飲めていました。
自発的に薬を飲むことはほとんどありませんでした。
しかし医師から薬は飲んでいるかと聞かれれば、
飲めていることには違いありませんから、飲めていると答えます。

どのような状況の中で飲めているのかまでは医師からは聞かれていないので
その状況を伝えていないのです。
医師は食事も薬もきちんと摂取出来ているので大丈夫だと判断してしまうのです。

 

このように精神疾患の方は、実際の状況を医師に伝えきれていない為に
軽い診断書を書かれてしまうケースが非常に多いのです。

 

また通院日に病院に行けるのも体調がいい時であるため、
本当に体調の悪い時は行けません。
ですから本当に体調の悪い時に医師に診てもらう事が出来ない
という点も残念でなりません。

診察時には本当に体調が悪い時の話、出来ない事、辛い事をしっかりと話すことが大切となってきます。
また本人が思っている病状とご家族から見た病状が違う事もありますので、
しっかりとヒアリングする事が精神疾患の方はとても大切となってきます。

 

確かに、きちんと伝えていませんでした。
今度からの診察では、辛い事、出来ない事をしっかり伝えていこうと思います。

 

ご家族の方に一緒に診察に来てもらう事も良いと思いますよ。
出来ない事を的確に先生に話してもらえますからね。

 

Aさんは申請のサポートを依頼され、Aさんの日常生活状況をヒアリングしました。
そのヒアリングした内容を聞き取り票としてまとめ、主治医の先生に参考資料としてお渡ししました。
するとご理解頂き、2級相当の診断書に訂正していただけました。

 

このようなケースは医師にきちんと日常生活状況が伝えられていないためにおこりました。
専門家である社労士がAさんの日常生活状況をしっかりとお聞きし、さらにご家族からもヒアリングします。
本人の思っている状態とご家族から見た状態は違っていることも多く、両方をきちんと伝える事が必要です。

 

結果Aさんは障害基礎年金2級、さらに5年の遡及も認められ受給出来ました。

 


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