【紙芝居型ブログ】家族が障害年金を受けることに消極的なとき

障害年金を受給できる要件は整っているのに家族が反対している、または家族は受給してほしいと思っているのに本人が乗り気ではない。そんなケースでお話ししている考え方の一つです。

高橋社労士
年金を受け取る権利があるのに抵抗がある方もまれにいらっしゃいます。「障害」という名称にとらわれず「傷病」だと考えて治療に専念してほしいです。

 

うつ病 20代男性Bさん 初診日は18歳の学生の時
家に引きこもり、ニート状態。通院は月に1回。服薬で経過観察している。
何度かアルバイトを経験するが、継続的に働くことが出来ない。
障害年金を申請することに乗り気ではない。

お父様から相談のお電話をいただきました。
息子のBさんは大学受験に失敗し、うつ病を発症しました。しばらくは家に引きこもり、何も出来ない状態でしたが、薬を服用していればある程度症状は落ち着いていたので、本人の同意のもとアルバイトを始めさせたそうです。
しかし1ヶ月も働くことが出来ず、すぐにクビになってしまい、その後も何度か他のアルバイトに挑戦するも継続的に働くことは出来なかったそうです。
詳しいお話を伺うため、無料面談にお越しいただきました。

 

息子さんのBさんは初診日要件、年金の納付要件、障害認定日の要件、全てクリアしていますね。
障害の状態も該当していると思います。受給できる可能性はありますよ。申請の準備に入ってよろしいですか?

 

それが…。
(沈黙‥‥)

申請はしたいので、ぜひお願いしたいと思っているのですが、実は当の本人が障害年金を申請することに乗り気ではなくて…。
いつまでも自分たち親が面倒を見てあげられるわけではないので本人がいつか一人で生活していくためにも障害年金をもらえたらと思っているのですが…。
さらに妻もまた反対しておりまして…。
どうしたら良いか悩んでいて…今日はこの事を相談したくて伺いました。

 

どういった理由で反対されているかはお分かりなんですか?

 

はい…。
息子の方は、ただ単にそこまでしなくてもいいといった感じです。
今も自分自身は困っていることはないからと言っています。
それはそうです。
親に面倒見てもらい衣食住は困らないでしょう。
病気の為か、将来など考える事も無い状態です。だからこそ、親としては本人のために障害年金をと考えたのですが、嫌だと言うし…。

本人もアルバイトを始めた頃は、このままではダメだと思っていたようで、社会と繋がろうと努力はしていたようですが…
クビになってしまう事が多く、決められたバイトの日数も行く事が出来なかったので、すっかりやる気をなくし家に引きこもってしまいました。

妻の方は、息子に障害というレッテルをはるのが嫌なようで、障害年金なんてもらったら、いつか会社に勤める様になったら「障害者」だと思われてしまう、
むしろ就職すら出来なくなってしまうかもしれないと言って、反対しています。
どうしたらいいのでしょうか‥‥。

 

うーーん。
まずBさんは働きたい意欲があるように思えたのですが、いかがですか?

 

そうですね。アルバイトを転々として、結果はダメでしたが、何度か面接を受けていましたら頑張ろうとは思っていたとは思います。

 

そうなんですね。
まずその気持ちがあるかないかが大事となってきます。
そして働こうと努力したが、フルタイムでの仕事は無理だったという事ですね。
それによりうつの症状もひどくなってしまったというところでしょうか。

 

まさにそうだと思います。
もともと真面目な性格な子でしたから、何もせずに家にいることは気が引けるとは思っていたようです。通院と薬の服用は欠かさずにしています。
しかしアルバイトすらきちんと出来ず、ますます落ち込む状態となってしまいました。かといって病気を公表しては雇ってくれるところはまずありませんからね。

 

それならば、やはり障害年金を受給することをお勧めします。

 

ですから本人が乗り気でないので、どうしたらわかってもらえるのでしょうか。

 

ではBさんにこう伝えてみて下さい。
例えば10万円を稼ぎたいとします。10万円を稼ぐには、フルタイムで仕事をしなければ難しいでしょう。
しかし病気を抱えた状態ではフルタイムの仕事は出来ません。実際Bさんはアルバイトに行けない事も多かったのですよね。
それならば障害基礎年金2級を受給しながら、短時間、週2回程度の仕事をしてみるのはいかがでしょうか?

 

障害基礎年金2級は月に約6万5千円受給出来ます。
10万円を稼ぎたかったらあと約3万円稼げばいいのです。
3万円でしたら、週2回程度、月に6回程度行ければ、無理のない範囲で仕事ができ社会と繋がっていけると思います。

 

なるほど~
それならば無理のない範囲で働けそうですね。
まずは息子のペースで無理なくやることが大切なんですね。
この考え方なら、分かってもらえそうな気がします。

 

障害年金は病気やケガで働けなくなった人や、働くことが困難な人にリハビリや治療のために役立ててもらう目的があります。
病気やケガと向き合っていくために前向きな気持ちで受給するものです。
ですからBさんが社会と繋がっていくために、前向きな気持ちから受給するという選択肢があるという事を分かっていただけたらいいですね。

 

そうですね。早速家に帰ったら話してみます!
いいお話を聞けました。ありがとうございます。
しかし、妻の方はどう話したら分かってもらえるのでしょうか?

 

まず奥様のお話の中にはいくつか誤解があります。それをご説明しますね。

 

障害年金は受給出来た場合、基本的には他者に知られることはありません。
会社に勤務していて障害年金を申請したいと思っている方からもよく聞かれるのですが、障害年金を受給できた場合、会社の総務部などで手続きをしなければいけないのか、会社に収入として申告しなければいけないのかなどがあります。
そのような手続きや申告は必要ありません。
通知が会社に送付される事も無いのです。ですから、周りの方に障害年金を受給していることは口外しない限りは、日常生活の場面で知られることは極めて低いと思います。

 

そうなんですか!それなら妻も安心してくれると思います。

 

ただ国民年金加入の方は年金納付の免除が出来ます。
受給後に市町村役場にて手続きすれば障害年金を受給中は年金の納付は免除となりますのでそういった手続きをする時には、周りの目が気になるかもしれませんが…。

 

それは手続きだけですから大丈夫だと思います。
それにしても年金の納付の免除があるんですね。知らなかったです。
息子は働いていませんから私たち親が年金は支払っています。
将来のためにと納付はしていましたが、免除されるとなにか将来に影響することはあるのでしょうか?

 

障害年金を受給し免除手続きをするかどうかは、ご自身で選択できるんです。
免除すれば、それだけ65歳からもらえる年金額は減ってしまいます。
免除手続きはせずに、そのまま納付し続けていれば65歳からもらえる年金額は増えます。この点を理解し、その方にあった選択をすればいいのです。

 

そして気をつけていただきたいのが、65歳からもらえる年金、老齢年金と言うのですが、この老齢年金と障害年金は両方はもらえません。
老齢年金をもらえる年齢になった時に、どちらか選ぶようになります。

 

それも知りませんでした!
知らない事だらけで、とても勉強になりました。
今日帰ってから、息子と妻に話てみます。
本当にありがとうございました!

 

その後、Bさんのお父様から息子さんと奥様に理解してもらうことが出来たとご連絡頂きました。
そしてサポートのご依頼もいただき、無事に障害基礎年金2級を受給する事ができました。

 

Bさんは障害年金を受給しながら、短時間ですが週1~2回程度のアルバイトを始め続けられているそうです。
自分の口座に自分のお金が入ってくるというこが、自信に繋がり、病気を治したいという前向きな気持ちになれているそうです。


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