【紙芝居型ブログ】初診日のカルテがない!(第三者証明と客観的資料)

病院等でのカルテの保存義務期間は5年です。初診日の証明が取れずに請求をあきらめてしまう方も多いですが、まずはいろいろと探してみましょう。

高橋社労士
紹介状、領収書、日付の入っている診察券、障害者手帳申請の診断書、生命保険等の請求書類、家計簿、日記等、初診日をなるべく客観的に証明ができる書類を探して行きましょう。

 

Oさんは現在40代、女性。
中学生の時の交通事故により右半身麻痺と
右眼の視力喪失の後遺症が残りました。
身体障害者手帳2級をお持ちでした。
現在は障害者雇用で無理のない範囲で働いています。
すでに事故から約30年が経過していました。

5年前に障害年金という制度を知り、ご自身で申請しようと動かれたそうです。
しかしさまざまな書類を揃えることや、
何度も年金事務所に足を運ぶことは
麻痺を抱えた身体では負担となり、途中で諦めてしまったそうです。

 

30年近く、ずっとこの障害と付き合ってきました。
障害者雇用で働いていますが単純な作業しか出来ません。

この先の生活の事を考えると、やはり障害年金を受給したいと思いまして…
5年前にも家族に手伝ってもらって、申請しようと思いましたが、
30年前の資料を集める事は難しく、
市役所にも相談しましたが、無理だと言われ、諦めてしましました。
本当に、申請することは無理なのでしょうか?

 

まずはOさんの病歴を整理してみましょう。
30年前の事ですが、一つ一つ思い出してみましょう。

あと現在は、どこか病院に通院していますか?
治療中ではありませんか?

 

この障害での通院は、交通事故後、約1年位リハビリ通院しただけで、
それからは病院にかかってないですね~。これ以上は治らないと言われたので‥
あっ!でも就職する時に、障害者雇用を受けるために、手帳の取得が必要だったので、
その時はお医者さんに診てもらってます。
今も通院していないと、ダメなんですか?

障害年金の申請をするのに、現在の傷病の状態が書かれた、診断書が必要なんです。
通院していないという事は、その傷病が治った、ということか、症状固定といって、
これ以上は回復を見込めない、と判断されたか、ということになります。
Oさんの場合は、身体の不自由ですので、症状固定という判断ですから、
現在通院していなくても納得がいきます。
現在の症状を、書いてもらえる病院はありますかね?

 

それなら、普段からケガが絶えないので、その治療に頻繁に行っている病院があります。
右半身麻痺のせいで、日常的に転倒するんです。
右の視力もほとんど無いですからね~
少しの段差にも、気が付かない事が多く、すぐに転んでしまうんです。

 

えっ!それは大変ですね。気を付けて下さいね‥

では現在の診断書を、書いてもらえる病院はありますね。
それでは30年分の病歴を、整理していきましょう。
どこにも通院していない期間も含めて、病歴を書きだしていきます。

 

事故に遭った当時の記憶は全くないんです。
病院も分からないので、両親に確認してみます。
高校生位からなら思い出せるので、頑張ってみます。

 

病歴が長い場合、ご家族の協力も必要となりますね。
ご家族に、当時のOさんの様子や、日常生活についても伺いたいのですが大丈夫ですかね?

 

もちろんです。
よろしくお願いします。

 

ご両親が当時の日記や手紙などの資料を提供してくださり、より詳しい状況が分かりました。

 

ヒアリングからこのような病歴が分かりました。

 

現在は制限のある中での日常生活、
ケガの絶えない現状、
この先も回復することのない症状から
受給出来る可能性がある、と判断し、サポートする事になりました。

 

まずは障害年金を申請する為の3つの要件をクリアしているか確認しましょう。
一つ目は初診日要件です。
Oさんは交通事故に遭い、一番初めに運ばれた病院となりますね。
この病院で初診日証明書を取ってもらいますが、なにせ30年前ですからね、
まだこの病院は健在ですかね?

 

母に確認したところ一つ目の病院と3つ目の病院は廃院、
2つ目の病院は、総合病院なのでありましたが、カルテは残っていないとの事でした。

 

病院全部ダメです。あーどうしたらいいでしょうか?
やっぱり申請は、諦めた方がいいのでしょうか…
初診日が証明できない…

 

うーん‥‥病院が全部ダメですか…
そうしたら、初診日の証明として、他に使えるものとして…
交通事故なので、警察に交通事故証明、というものを提出しているはずです。
その書類が証明となります。

 

あとは、交通事故の時に、自動車保険などを使用していれば
給付申請時の診断書なども、証明になります。
ご両親に聞いてみましょう。

 

わかりました。探してみます。

 

諦めず、一つ一つ探していきましょう!!

 

1週間後

 

両親に確認してもらいましたが、
30年前の事です。警察に資料は、残っていませんでした。
保険の方も、同じくありませんでした。
ただ両親から、事故当時の通信簿が出てきて、その中に事故にあった事など
資料にならないか、と預かってきました。
役に立ちますかね?

 

やはり30年前ですから、今のデータでの保管と違って、紙での保管なので、ないですよね。
しかしお母様が、通信簿を保管されていたんですね。
すごいです!年月日、担任の先生の名前、色々と詳しく、事故の事も書いてありますね。
十分添付資料として提出できそうですね。
ですが、これだけでは不十分なので…

 

第三者証明による、初診日の認定をしてもらいましょう。
当時の事故により、病院に運ばれた事を証言してくれる人を、3名探して下さい。
家族以外の方に限ります。

 

えっ!3人の人に、当時の事故や病院にかかった事を証明してもらえば、
それが初診日の証明になるんですか?!本当に?!

 

はい。第三者証明書という、書類があるので、それを3人以上の方に書いてもらい、
なおかつ客観的な資料を、一緒に添付すれば、認定される可能性があります。
Oさんの場合は、第三者証明書と通信簿、あと障害者手帳を取得した時の
診断書のコピーを、資料として付けましょう。

 

えーっ!!障害者手帳を取った時の、診断書のコピーなんて、取ってないですよー。
どうしよー

 

大丈夫ですよ。お住まいの市町村役場にて、申し出ればコピーをもらえます。
取り寄せてもらえますか?

 

そうなんですね。知らなかった!確かに手帳の手続きは市役所でやりました。
分かりました。取り寄せてみます。

 

あとはご両親と相談して、第三者証明書を書いてもらえそうな人を、3人探して下さい。
決まりましたら、当事務所が、第三者証明の書き方や、記入例を、
その方々の負担にならないよう、丁寧に教えますのでご安心下さい。

 

自分の力だけでは、そんな事できませんでした。お願いして本当に良かったです。
体調が悪くなったら動けないので、お任せすることで、
自分の体調のことだけを考えられるので、ありがたいです。

 

通院、体調の変化など、病気を抱えての書類集めは、本当に大変ですからね。
お任せください!
では障害年金の申請に必要な3つの要件を、あらためて確認しましょう。

 

1つ目の初診日要件は、第三者証明書と客観的資料で、クリア出来そうです。
続いて2つ目の、年金の納付要件ですが、Oさんの場合は初診が中学生の時です。
なので20歳前傷病となりますので、納付要件は問われません。
20歳前に初診日がある場合は、国民年金となります。

3つ目の、障害認定日要件は、初診日から1年6ヶ月経過した日は、
すでに通院が終了していました。
また当時の病院は廃院しており、認定日時点の診断書を、取得することは出来ませんね。
しかしOさんの場合は、初診が20歳前にあるので、
その場合認定日は、20歳の誕生日となります。
この時点でもどこにも病院は受診していなかったので、認定日請求は出来ないですね。

 

えっ!認定日で請求出来ないって、やっぱり障害年金の申請は
諦めるしかないってことですか?せっかく初診日の証明の資料が集まりそうなのに‥‥

 

大丈夫ですよ。認定日時点で申請が出来ない場合、現在の傷病の状態が
認定基準に該当していれば、今からの申請ということで出来るんです。
それを事後重症請求と言います。

 

障害年金ではこの4つのタイミングで申請が出来ます。
それぞれ色々と条件があるので、自分がどのパターンに当てはまるか
判断する事も大事な作業です。

 

へーいろいろあるんですね。
聞けば聞くほど、自分でやる事の難しさを感じてしまいますね。

 

そうですね。まずは専門家である、社労士に相談してほしいなと思います。
それでは3つの要件をクリアしたので、早速書類を集め始めましょう。

 

それから初診日を証明するための第三者証明書を、
事故当時の中学校の担任の先生、
当時通っていた母の友人の英語の先生、
事故現場に一緒にいた友達
の3人に書いてもらう事が出来ました。
そして市役所より、障害者手帳を取得した時の診断書も、取り寄せ出来ました。

 

診断書も通院はしていませんでしたが、日頃から受診していた病院にて
現在の状態を書いてもらえました。
どのような経過を辿って、現在の状態に至ったのか、詳細が分かるように
病歴申立書と障害者手帳を取得した時の、診断書のコピーを資料として、お渡ししました。

 

2級相当の診断書を受け取ることが出来ました。
このように通院していない場合でも、資料をお渡しすることで、
総合的に判断していただく事ができました。

 

結果Oさんは障害基礎年金2級を受給することが出来ました。

 


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